2013年2月6日

今回のレーダー照射事件について



今回の海上自衛隊護衛艦及びヘリコプターが中国海軍フリゲート艦にレーダー照射された事件についてのまとめand私見です。


2013年01月19日1700時頃に中国海軍にレーダー照射されたヘリコプターの母艦はDD-111「おおなみ(JS Oonami)」です。海上自衛隊第2護衛隊群第6護衛隊所属で、定係港を横須賀とする艦です。艦の情報は省略し、今回レーダー照射されたとされるヘリコプターはSH-60K哨戒ヘリコプターです。

SH-60Jに対しレーダー照射した船は江凱型フリゲートとされています。今回の事件とは関連のない兵装・電子装置に関しては省略します。江凱型フリゲートはSH-60Jに対し対空レーダー「フレガートMAE-5(Top Plate-B)3次元対空レーダー」とされ、読んで字の如し、空中の戦闘機やヘリコプターを補足するレーダーです。
この対空レーダーで目標補足後、安全装置を解除し、HQ-7 艦対空ミサイルやHQ-16 VLS(垂直発射装置)発射式艦対空ミサイルで攻撃を開始することが可能です。


2013年01月30日1000時頃に、中国海軍よりレーダー照射された護衛艦はむらさめ型護衛艦3番艦である、DD-103「ゆうだち(JS Yuudachi)」です。海上自衛隊第3護衛隊群第7護衛隊所属で、佐世保を定係港とする艦です。
兵装は76mm62口径単装速射砲(オート・メラーラ76mm砲,1門)、Mk15 ファランクスCIWS(2基)、90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)4連装発射筒(2基)、Mk41 VLS 16セル、Mk48 VLS 16セル、68式3連装短魚雷発射管(2基)です。
電子装置はOPS-24B対空レーダー、OPS-28D水上レーダー、OPS-20航海レーダー、91式射撃指揮装置2型-31(2基)、OQS-5ソナー、OQR-2曳航ソナー、NOLQ-3 ECM、OLT-3 ECM、Mk137 チャフ発射機(4基)、SLQ-25曳航パッシブアレーです。

護衛艦「ゆうだち」に対しレーダー照射した船は江衛II型(053H3型)フリゲートとされています。今回の事件とは関連のない兵装・電子装置に関しては省略します。江衛II型フリゲートは護衛艦「ゆうだち」に対し火器管制レーダー「344型(MR-34)SSM/主砲FCレーダー」とされ、読んで字の如し、艦対艦ミサイルと主砲の射撃管制装置を備えたレーダーのようです。(SSM=艦対艦ミサイル、FC=射撃管制)
この火器管制レーダーで目標補足後、安全装置を解除し、79A式56口径100mm連装砲(PJ-33A)やYJ-83艦対艦ミサイルで攻撃を開始することが可能です。


どちらにしても、安全装置を解除すれば攻撃が可能な状態であった、という極めて危険な「軍事行動」でした。
領海侵犯や領空侵犯等の挑発行為も許せませんが、今回はそれを更に一歩踏み越えた「軍事行動」です。言ってみれば中国海軍が海上自衛隊に対し「方向を向けてきた」のと同じことで、開戦の危機にあった、ということです。

国際法上、レーダー照射をされた時点で艦対艦誘導弾による反撃が可能で、大変危険な状況にありました。しかし、国際法上容認される「反撃」を行わなかったのは、憲法9条の政府解釈が「攻撃を受けないと反撃できない」故に、海上自衛隊は何ら反撃できないのです。中国海軍も恐らくそのことを理解した上で行動に及んでいると思われます。

即ち、上記の様な高額な装備を有する護衛艦や、高額なヘリコプターが反撃できないまま攻撃を受け、不測の事態に陥っていた可能性が高いのです。国民の税金で配備された防衛装備が中国に蹂躙され、更に国民の一人である自衛官が殺される。このような事態に陥っていた可能性があるのです。

習近平 中国共産党中央委員会総書記が中国人民解放軍をシビリアンコントロールの支配下で抑えられていないとか、中国人民解放軍の18の軍集団のうち、10の軍集団(北京防衛8集団以外の軍集団)がクーデターを目論んでいるとか、そもそも中国人民解放軍は軍閥化が進んでいて中央政府の言うことを効かない等の話がありますが、いずれにしても、非常に危険な状況にあったのは事実。第一報を聞いたときは、私も背中に悪寒が走りました。

02/06 17:25 訂正
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130206/plc13020600180000-n1.htm
上URLによると、照射されたヘリコプターはSH-60Kとのことです。
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